「学校」というと小学校からと思っていませんか。幼稚園も学校教育法に基づく「学校」です。
特に、前回の学校教育法の改正において「学校とは、幼稚園、小学校、中学校・・・」(学校教育法第1条)と規定順が改正され、幼稚園が”学校教育のスタート”であるという位置づけが更に明確になりました。
また、幼稚園教育要領の改定により「発達や学びの連続性を踏まえた幼稚園教育の充実」が大きな柱になっており、「幼稚園と小学校との円滑な接続」が必要になり、小学校教育以前の教育機関である幼稚園の位置づけが益々重要になってきました。
3歳から小学校入学前までの子どもは,全国どこでも共通の教育課程(「幼稚園教育要領」文部科学省告示)に基づく教育が受けられます。
幼稚園は、遊びを大切にした教育を行っています。この時期に思いっきり遊ぶことで、その後の学びや創造性が豊かになるといわれています。
このため、幼稚園では、小学校以降の教育と異なり、教科書を使わず、「遊び」中心の活動を行っています。これらの「遊び」は、「国語」や「算数」などと同じように子どもの将来にとって重要な学習なのです。
幼稚園の「遊び」と小学校の「国語」や「算数」などは、一見何のつながりもないように見えるかもしれません。しかし、子どもは幼稚園で様々な遊びを通して、うまく人とかかわれるようになったり、言葉が豊かになったり、自然の美しさや不思議さなどに気付いたりすることで、小学校以降の学習の基盤をつくっているのです。
幼稚園から高校の段階までを見通して、幼稚園教育要領では、よいことや悪いことの区別、他者への思いやりや社会的ルールを育てるなど心の教育を充実しています。先生は、一人ひとりの子どもよく理解し、子どもが自ら気付き、考えることを大切にしながら、集団生活を通して道徳性の芽生えを培うように指導をしています。
子どもにとって意味のある「遊び」は、子どもをただ放っておいてもなかなか生まれません。幼稚園では、先生があらかじめ一人ひとりの子どもの発達に必要な経験を見通して綿密な指導計画を立てるとともに、指導要録(子どもの発達の記録)を作成し、継続的な指導を行うようにしています。
この指導計画や指導要録に沿って先生は、子どもに応じて適切な援助を行い、遊具などを工夫して配置し、様々な遊びが生まれるようにしています。
指導計画の立案や一人ひとりの子ども理解は、すぐに、まただれにでもできるものではありません。幼稚園の先生には、専門家としての幼稚園教諭免許が必要です。指導計画の立案や日々の指導に当たって、先生たちは十分に時間をかけて話し合ったり、研修会等に参加したりして常に専門性を高めています。